令和6年5月9日(金)午後3時~5時
岡山理科大学にて

人口減少社会にあって、公共施設の維持管理で抱える問題や今後の在り方をどうしていくべきかをしっかりと考えていかなければならない。
公民連携事業が課題解決の一つの希望とされ、施設の維持管理に必要な資金をどう捻出するか、より良い環境をどう住民に提供し続けられるか。
特に公共施設の中でも優先順位が低いスポーツ施設においてスポーツ活動の場や担い手を持続可能にする仕組みづくりと豊かな暮らしと地域を作ることを目的とし、
そういった課題に対しての勉強会が開催された。

3人のゲストスピーカーによる話をお聴きしました。
①三宅香織氏(NPO法人自治経営 理事/認定ファシリティマネジャー)
元倉敷市役所職員
10年間公共施設ファシリティマネジメント(FM)として行財政改革の担当として携わってこられた。

人口減少傾向が急激に強まる中、今後のマネジメントをどうするのか。減らさないでいては管理する人間の不足に拍車がかかる。
一方、住民税が減少する上で施設の維持管理にお金がかかるが、老朽化対策にかかる経費と裏腹にお金がもっと不足していく。

公共施設の利用者はそれぞれの施設によって利用者が偏っており、全住民が利用するような施設はあまりない。
行政に任せっきりにせず利用者もしっかりと考えていくべき。
総量抑制も視野に入れないとお金がいくらあっても足りない。

②川口義洋氏(一級建築士/認定ファシリティマネジャー)
津山市総務部財産活用課長

現在の建築の老朽化に心を痛めている。
公共施設を修繕するにあたってお金がほんとに無い。
ターゲットが定まっていない。みんなが利用できるという行政ならではの考え。
広く薄く・・・の投資では立ち行かない。
FMは資産管理。公共施設をいかに生きた資産にしないといけない。

公民連携を進めていく上で、行政はビジョンをもって市場を開いて民間に市場参画して貰う。規制緩和していくべき。
先ずはパブリックなマインド(儲け主義ではない)を持ってもらわなくてはいけない。町を良くしたいということ。
収益が目的とする民間は避ける。

③坂口 淳氏(株式会社AS代表取締役)
2022年開業の熊本県嘉島町と熊本県サッカー協会との公民連携事業で都市公園にサッカーフィールドと保育園、カフェ等の複合施設「COSMOS」の整備を主導され、整備に至るまでの経過や手法について説明された。

熊本県でのサッカー競技においての慢性的な会場不足の解消が目的。
町が土地の取得と造成。上物は民間で建設し、収益部分を保有し、スポーツ施設部分は町に譲渡。
初期費用は何とかなるがランニング費用をどう作っていくかは施設をきちんと運営していければ何とかなるもの。
銀行からの融資を受けられるのは自治体との連携で進めているので信用性が担保される。

スポーツ施設開発・事業開発・人材養成を軸に公民連携事業プロジェクトの行政側・民間側双方の支援、事業プロデュースを進めておられ、実績もある中では説得力も感じられる。

④トークセッション
・坂口氏
行政は困っている。解決方法の一つに公民連携が挙げられるが、行政主導ではうまくいかない。
いかに良い民間事業者をパートナーとして見つけられるか。
民間事業者は大きな借金を負う気概があるかどうかにかかっている。

・三宅氏
ビッグプロジェクトを進める上で、民間事業者が公共マインドを持っているかが肝心。
住民の為になるから頑張る民間事業者と組むべき。行政とどうパッションを合わせるか。
行政が持っている施設を活用することを積極的に考えて欲しい。
稼げる施設にして行政にとって残していく施設にもして行ける。

・川口氏
行政の持つ与信力を民間事業者は使ってほしい。
行政も出来るだけ規制を緩め、民間はそこに入っていける事業を作っていくと組み合わせが出来る。
出来る行政マンを見つけることが大事。

⑤所感
公共施設は全国的に老朽化が進み、人口減少時代にあっては過剰な数になってきているので抑制することが必要だが簡単に減らせるものではない。
特に公共施設の中でも優先順位が低いスポーツ関連施設について、行政だけでは維持管理していくことが困難となっている。
行政は考え方を変え、市場を開放し、規制を緩和し、自由度を高めた上で公共マインドを持った信頼のできる民間の専門事業者のノウハウや実績を活用していくことが今後求められる。
松原市においても、施設をトータルで考え、思い切った方針を打ち出していくことが急務であると考える。