まつばら未来会派視察(高知県高知市)

令和6年1月23日(火)午前10時00分~午前11時30分
於:高知市 議会事務局会議室
高知市役所
市民協働部地域コミュニティ推進課市民活動担当係長 國久 雄平氏
係員 石原さん(女性)

◆視察目的
子ども達の自主的なまちづくり活動を応援し、これからの町を担っていく子ども達の背中を押してあげられる事業を展開されており、また実績も積み重ねてこられている高知の取組を参考にして、松原市でもまた高知市とは違う形で自主性を育んできた取組を更に充実したものに出来るかを探るために高知市を訪れました。

◆所感
先ずはこどもファンドの設立経緯をお聴きしました。

市民、NPO、事業者と市が互いにパートナーシップの構築に努め、協働して住みよい高知市の実現に寄与することを目的に、「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」の策定を機に、当該ファンドの母体である「公益信託高知市まちづくりファンド」を立ち上げた。

公益信託にした理由については、市の直轄事業にすると補助金助成の要綱で縛りがかかるため、事業の目的から柔軟なやり方が求められたとのこと。平成15年から現在まで継続はされているが、平成23年の今後の在り方の検討委員会で、助成活動の3割が子ども関連で、子ども関連の活動は地域を巻き込む大きな取組であり、地域の住民全体への波及効果があることがこれまでの実績から確認できたことから、平成24年4月にこうちこどもファンドが設立された。

子ども関連事業については、市の直営にされたが、それは市が責任を持つという意味合いで、2000万円を基金に積み立てられた。

子ども達が主体となり、大人の力も借りながら地域の課題解消に向け取り組んでいく姿勢がとても刺激になりました。しかも、その活動に対し、助成の可否を審査するのも子どもであるという画期的な仕組みです。

その為にはコーディネーターの役割がとても重要でありますが、もう高齢化しているため、その継続を高知大学と連携して次の展開を模索しておられるようです。

助成自体は同じ活動に最大3年まで。学年が上がり、学校が変わっていくタイミングで区切られているそうです。

これまでの助成金の原資として寄付金を募ってこられていますが、支出した助成金を累計で上回っており、基金を取り崩すことなく健全的な助成事業になっています。

様々な活動事例を紹介いただきましたが、どれも魅力的で子ども達が生き生きと主体性をもって取り組んでおられる様子が伝わってきました。

大人がそっと手を添えてあげることで子どもは自主的に、また自尊心を高め、次のまちの担い手として大きく成長することに繋がっているのとても有意義な事業であると確信し、本市も参考にすべきところは多分にあると感じました。

まつばら未来会派視察(高知県日高村)

令和6年1月22日(月)午後1時30分~午後3時30分
於:日高村役場 議会事務局会議室
日高村議会 副議長 池田 雄氏
企画課長 山﨑 明氏
企画課主幹 安岡 周総氏

◆視察目的
高知県の中央部面積約45㎢、人口約4,800人の日高村で、日本初のスマホ普及率100%を目指す取り組みが村政にとってどう影響を及ぼすのか、住民にとってどう有意義な環境を整えることが出来るのかを学ぶことを目的として伺いました。

◆所感
「村まるごとデジタル化事業」は内閣官房デジタル田園都市国家構想において夏のDeji田甲子園でベスト4に入り、SDGsでいう誰一人取り残されない社会の実現をテーマに、高い評価を受けた取組みです。

もともとのきっかけは、少子高齢化・人口減少、財源・マンパワー不足を背景に、住民、特に高齢者との距離を縮めたいという考えの下、住民から見た役場を変えたいという思いがあったとお聴きしました。

当初、村で65%だった普及率は全国平均並みでしたが、昨年4月時点では86%にまで上昇しました。

2045年には人口は2400人と半減し、高齢化率は43%から59.57%にまで上昇することが予想され、行政サービスの在り方の変革は急務です。

デジタル化によって住民サービスの維持及び増進を目的としましたが、特に高齢者は本当にデジタルツールを使えるのか、また、使えるようにしていくことが必要とされる状況で高齢者との直接対話を基本としたとありますが、一番地道でかつ効果的なやり方なのだと思いました。

高齢者にとって、視認性の高いタブレットの方が良いのではないかと思われがちですが、携帯性を考えてスマホに重点を置いたとのことです。

スマホの普及率を上げることは、情報を収集したり、その得られた情報を基に行動、あるいは生活に活用し、行政手続き等も自分で出来るようになることが住民自身の自助力を上げることに繋がると考えられました。

当初は反対意見も多かったが丁寧な説明を心がけ、スマホに触って貰ったりする中で1年ほどかけて興味を持つようになって貰えたとのこと。

デジタルディバイド層の解消を達成するには住民間のクチコミに頼るところが大きく、また総務省のデジタル活用事業の交付金を利用して、お笑い芸人によるスクール形式を実施したり、住民の都合を優先した形でいつでも対応する「よろず相談所」を設置されました。

対応するには専門的知識を要することから携帯電話のキャリアスタッフを役場の臨時職員として採用したことが対応のポイントであったと思います。

また、購入に際してはキャリアでキャンペーンを実施して貰い、通信費等のランニングコストは村負担としてポイントとして付与し、村内で活用できるようにしたそうです。

原資には企業版ふるさと納税を活用し、県立大学等との連携、みらくるプロジェクトといわれる事業を展開し、企業にも参加もしてもらう中で健康アプリを開発・実装することを進めておられます。

マイナンバーカードの普及が求められる中、保険証との統合も計画され、マイナンバーカードの機能がスマホに搭載されたことで、スマホを所有する動機がより明確となってきています。まだまだデジタル化が進んでいない自治体も存在しますが、他の自治体や事業者との連携の下研究を進め、デジタル化を推進し、基に誰一人として取り残されることのない社会の実現に向けて住民も行政をたゆまぬ努力していかなくてはならないと感じました。

まつばら未来会派視察(高知県南国市)

令和6年1月22日(月)午後9時00分~午前10時30分
於:南国市スポーツセンタータワー見学
南国市 危機管理課 危機管理係課長補佐兼係長 野村学氏
議会事務局議事調査係主幹 三谷容子氏

◆視察目的
南海トラフ地震の発生確率が高まる中で、2011年の東日本大震災の津波災害がもたらした被害はかなり大きく、それを機に南海トラフ地震の津波被害想定が見直され、これまで大丈夫とされていた高台では人命が助からないであろうとされた。そこで市内に被害想定区域内の住民が避難できる津波タワーを短期間で建設し、いつ発生してもおかしくない南海トラフ地震に備えた。2024年元日の能登半島地震で発生した津波災害においては震源地が沖合近くで震源地が浅かったことから到達する時間が数分と短かった。南国市沿岸部に居住する住民の不安が募る中、予め対応できる公助の現状を調査研究することが目的である。

◆所感
高知竜馬空港に降り立って直ぐに南国市スポーツセンタータワーを訪れました。職員の野村さん・三谷さんに出迎えて頂き、説明を順に受けました。東日本大震災の被害状況から被害想定を見直し、内閣府の指針では半径300mに一つ、概ね5分以内に避難できる距離に津波タワーを設置する方針とし、平成24年度と25年度の僅か2か年で14基の津波タワーを建設されました。
国の加速化交付金を活用し、1基あたり約1億8千万円(内用地費約4千万円)かかっているそうです。地域についてはどこも早く建設してほしいとの要望で悠長なことを言っておられず、建設用地については地元で調整を済まされたようで短期間での建設が可能となったと聞きました。

14基には想定エリアに住む7000人の内、4800人が避難できる想定であり、残りは山へ避難します。15基目となる今回視察した津波タワーは近くのスポーツ施設の利用者向けのタワーであり最大想定避難者数は820人。

当初、体育館での避難を想定していたものの津波の水圧に耐えられないとなり、新たに追加で昨年建設されました。

想定水圧よりも3倍耐えられる設計にしているため、コンクリート製の柱はとても頑丈に作られています。一度に大勢が駆け上がれる幅の広い正面階段は約4千万円で強度は建築費用も嵩むことからそれほどではないそうです。もし破壊されたとしても階段は別に設置されているので初期の目的が達成されれば良しとの理由です。

津波の到達時間がとても早い為、来るまでの避難ではなく、高台へ優先して避難しなければならず、165ある自主防災組織は時には自主的に夜間の訓練もされておられるそうです。

また、万が一津波が発生した場合、40時間はタワーに滞在することを想定し、災害備蓄倉庫には毛布と水が今のところ備えられていますが、食料品等は市の持ち出しであることから課題となっています。

今後の建設計画を尋ねますと、土砂災害特別計警戒区域では大雨と地震が重なった場合を想定して2もしくは3基を増設する予定だそうです。

今回の視察を通して、高知県では昔から繰り返し起こった南海トラフ地震の被害から学んだことを基に、住民自らが強く意識して自助共助の訓練をすると共に、行政は奪われる住民の命を最小限に抑える為に、出来る限りの想定外を排除し公助の役割をしっかりと果たすことに尽力されているのだなと感じ取ることが出来ました。

本市でも、比較的安全な地域と思われていますが、想定外のことが頻繁に起きていることから、決して油断してはならないように住民危機管理意識を高めておくことがとても大切であると言うことを改めて学んだ視察でした。

2024活動報告チラシVol.15を発行しました

2024活動報告チラシvol.15

新年明けましておめでとうございます。という挨拶さえも憚るぐらいではありますが…
2024年元旦早々、能登半島に震源に広い範囲で大きな被害をもたらした大地震。
北陸地方を中心に今もなお大きな余震が頻発し、72時間の生存ラインを超えたことで住民の不安は増すばかりです。
被害状況が刻一刻と明らかになるにつれ、残した爪痕の深さに胸を痛めていますが、復興に何年かかるのか想像すら出来ません。
2050年には現在よりも4割以上の人口減少が危惧されている珠洲市や輪島市等で、今回の災害で益々加速することも予想されます。

地震大国ニッポンという言われる所以の災害が益々激甚化・頻発化しており、活動報告のご挨拶の中でも申し上げておりますが、被災者の暮らしは今後どうなるのか幾ら思いを馳せてもどうにかなるわけでもありません。
しかし、そういった災害を通して学びを深め、少しでも防災・減災に努める必要があります。
今年は辰年ということで様々な運が上昇気流に乗って、大きな幸せがもたらされることを期待して新年を迎えた人も決して少なくないと思います。
まだまだ始まったばかりの2024年が災害続きにならないことを祈り、皆様の安心安全が守られる日々が続きますようにと切に願い、新年の挨拶とさせて頂きます。