令和6年11月7日(木)午前10時~11時
札幌市役所を訪れ、DXの現状と方向性について学びました。
デジタル戦略推進局スマートシティ推進部デジタル企画課の簑島企画係長にご説明頂きました。

2020年には197万人が居住する札幌市も2040年には185万人へと減少が予想され、生産年齢人口もそれに伴って121万人から102万人に減少が危惧されています。
2060年には市役所職員が2~3割減る中ではより一層のデジタル化が求められることが懸念されています。

1980年代の情報産業の振興がきっかけで平成9年に情報化構想、平成13年にはIT経営戦略が立てられ、平成16年にはIT戦略、平成29年にはICT活用戦略、その後令和2年に改定され、令和3年にはDX推進方針が立てられました。
ICTの活用が叫ばれていた頃はAIやビッグデータ等先端技術の活用が推進されていましたが、コロナ禍になり行政のDXが進んだことが背景にあります。
当初デジタル化が進んだ分野としては産業・観光・移動・交通の分野であるものの、行政は進んでいないとの分析からDXの推進が加速しました。

札幌DX推進方針については、「人口減少社会において、誰もが安心して利便性を実感し、真に市民生活の質の向上につながる市民目線によるデジタル改革」を地域社会全体で計画的に進めることを目的として策定されています。
重要ポイントとして…①市民起点の行政サービスの提供②飛躍的な業務の改革③スマートシティの実現④地域産業のデジタル化を掲げておられます。

札幌市の目指すデジタル社会の形成には、一般的な「行政のデジタル改革」に加え「地域のデジタル改革」の構成で先述の4つの重点ポイントを具体的に示されていることが札幌市の特徴とのことです。

行政のデジタル改革では、①市民目線で考え、②持続可能な行政サービスを提供し、③社会課題解決と新たな価値の創造に挑戦することを基本原則としています。
進めるにあたっては、STEP1(現在の姿)からSTEP2(あるべき姿)を描き、STEP3(実現可能な姿)を求めていくこととされ、打ち合わせには業務担当課とデジタル担当部局とのかなりの真剣なやり取りがされるようです。この業務プロセスの流れが、困難なDX化の実現には不可欠なものだと理解しました。

また、今回の視察の目的である「ICT活用戦略」すなわち、「地域のデジタル改革」においては地理的価値・人的価値・技術的価値・創造的価値を創造し、それの向上をさせることをICT活用戦略の目標としています。
つまりは産業振興と暮らしの利便性の向上を図ることが求められます。
また、こういった事を実現するには行政だけでの牽引力だけではなせるものではなく、やはり民間との連携が必須です。
①行政サービスにおけるクラウドの活用②働き方改革の推進③スマートシティの実現④サイバーセキュリティの強化という4本柱で官民連携に取り組んでおられます。
高齢者などデジタルデバイドの解消に向けた取組みや先進的サービス等の実証実験にも果敢に挑戦させておられ、北海道のエンジンである札幌市の今後の発展にとってはデジタル改革は十分に寄与するものであると考えるのと同時に、こういった先端技術の開発・推進には政令指定都市レベルの人的・物的・資金的資源と担当部署の情熱、並びに各市役所部局の積極的な取組みが必要不可欠であることを認識することが出来ました。