島根県伯耆町 清掃センター及び温泉施設「ゆうあいパル」視察

◆令和7年11月11日(火) 午前9時00分~12時  於:島根県伯耆町清掃センター・町営温泉施設「ゆうあいパル」
◆視察対応者:(株)スーパー・フェイズ顧問・前町長森安保氏と町職員で地域整備課行政専門員の井本達彦氏

伯耆町に「使用済み紙おむつ燃料化事業」を視察することになったきっかけは、燃料化装置を開発された(株)スーパー・フェイズの坂本さんからのメールだった。
全会派一致で決まった令和6年3月定例会(第1回)の意見書の中において、紙おむつ等の地域の循環資源や木質バイオマス等の再生可能資源の活用などに触れていたことにヒットされたことで私のHPへ問い合わせを頂いたことからやり取りが始まった。
以前から老朽化している市民プールの温水プール化を提案していたが、光熱費がかかることから提案がしにくい環境であった。
使用済み紙おむつを燃料化することで燃料費が抑制されるのではないかと思い、大阪市の平野清掃工場の余熱を利用できない場所に建設するなら環境教育、CO2削減の観点からも燃料化をして精製されたペレットを用いたバイオマスボイラーを活用して温水プールを運営し、問題となっている小中学校の水泳授業と高齢者の健康増進の拠点として、あるいはレジャープールとしての機能も持ち合わせた施設の建設を訴えていることから、より説得力をもった提案が出来るものとして直ぐに会派視察を決めたものである。
朝一番のスケジュールをご提案頂いた関係で前日から島根県に入り、9時からの視察に伯耆町清掃センターを訪れた。現場では(株)スーパー・フェイズ顧問で前町長である森安保氏と町職員で地域整備課行政専門員の井本達彦氏、それと燃料化設備のオペレーターの男性に聴き取りと機械の操作を視させていただいた。

一日当たり400~500㎏のビニル手袋やおしりふきシートも含まれた使用済み紙おむつを、臭気を抑える一枚5層の60円の割高な袋に入れた状態で6つの介護施設や5つの保育所からオペレーターが収集されてきます。


次の作業として燃料化装置に投入して16から18時間で滅菌処理がされたフラフが、重量が三分の一になって排出されます。その後、ペレットを作る別の装置にそのフラフが投入され、ペレットとして精製されます。

一連の作業の流れの現地説明を受けた後、ペレットを燃料としたバイオマスボイラーを運転する「温泉施設ゆうあいパル」に場所を移し、建屋込みで3500万円するボイラーの見学をしました。

ボイラーが小さいとそれだけ燃焼効率も悪く、かと言って点火したり消したりすると熱効率も悪く、すすが必ず出るので燃やし続けて運転しているとのこと。ボイラー自体の調達が難しく、今後の運用が懸念されます。
場所を施設内の会議室に移し、質疑応答の時間を取って頂きました。

ボイラーの選定・開発にかなり苦慮されたようですが、そもそも精製されたペレットの活用に苦慮されたことで、しっかりとした使用済み紙おむつの活用プロセスの一連の流れが定まっていることが条件であり、その条件が整うことがかなり困難を極めるのだと学びました。出口対策がしっかりできていないと、つまり、多額を費やしてペレットを精製したものの、そのペレットの活用が上手くいかなければ事業としては低い評価が出されます。

そこで高い評価を実現するために多額の税を更に大きなボイラーに投入するにしても市民や議会の理解を得られるのかとの疑義が生じます。

そもそも伯耆町は行財政運営の面から2つの清掃工場を1つにすることが命題にあり、処分する可燃ごみの量を減らすためには使用済み紙おむつの再資源化が有効であるとの結論が出たことからの高額な投資とも考えられる燃料化装置やバイオマスボイラーの導入に至ったと聴きました。つまり出口戦略が不十分であったように感じました。

当初、町ではこれらの一連の装置の整備には過疎地域特別債や合併対策債を活用しています。町議会にはトータル的なごみ量が明らかに減っているとの説明から説得されたとのことですが初期投資がやはりかかっていることにも注視しなければなりません。費用対効果はもっとも求められることであり、本市においてもそれだけの投資をしてまでバイオマスボイラーが有効的に働くかどうかである。

繰り返しになるがしっかりとした出口戦略が定まっていないと装置の設置に踏み切れるかどうかの説得力に大きな影響が出る。そのあたりの率直な説明が資料からだけではなく、実際に足を運んだ今回の視察で学べたことが今後の判断に大いに役立つことになった。

長時間に渡り、視察を受けて頂いた両氏に対し心から感謝申し上げます。