令和6年6月19日(水)
この日の最終質問者として演壇・質問席に立ちました。

❶持続可能な行政経営について
①行政資源である職員の体制の今後をどう見通されているか

私が市役所を平成25年度末で退職して約10年が経ちました。
そして、これまでの間、約半分は私の上司が退職することを順番に見送ることが当たり前でした。
しかし、後半は最近は同僚や後輩を見送ることが増えだしました。

この10年間で辞めた管理職数は下のとおり。
なお、( )内は課長級以上/定年退職者等含む全体

平成26年度 10人(1人)/28人
平成27年度 8人(0人)/31人
平成28年度 19人(3人)/38人
平成29年度 9人(1人)/28人
平成30年度 9人(1人)/30人
令和元年度  20人(4人)/44人
令和2年度  20人(6人)/43人
令和3年度  17人(2人)/29人
令和4年度  25人(5人)/55人
令和5年度  37人(8人)/42人

定年対処幾者数は平均15人ぐらいだが、令和元年度以降管理職の退職者が軒並み増えている
この現象はいったい何だろうか・・・と頭を痛めます。
最近の若い世代はキャリアアップだの、描いていた仕事ではないだのと長く持たない話は良く聞いているのですが、子育てでまだまだ収入が要る年代以上の職員の退職が目立つ。
「そのあたりの動向から今後の見通しがどうなのか?
果たして組織を維持していけるのか?」
と、言った観点から質問をしました。

帰ってきた答弁は…
「若手職員のキャリア形成につながる研修を実施、社会人経験者の採用、デジタル技術を積極的に活用して事務の効率化や職員の適正配置など働きやすい環境の整備に努めている。今後においても人口減少や高齢化など変化する社会情勢に柔軟に対応することが出来る体制整備に努めてまいります」とのこと。
私が行ったシミュレーションではこのままでは危機的な組織体制になると思います。
管理職が辞めるということは指導あるいは仕事を教える人が居なくなるという事。
どういう現象が起こるかは容易に想像が出来ます。
時代の変化に応じて組織を立て直していくことが必要ですが、上司の背中を見て学ぶことは基本中の基本。
その上司が居なくなることで不安さが増していくだけ。

ましてや問題視したのは令和元年度から始まった係長昇任試験を受ける職員が減り続けていることです。
受験率で言いますと・・・
令和元年度 41%
令和2年度 24%
令和3年度 25%
令和4年度 19%
令和5年度 15%
受験対象者数は平均100人いる中でこの受験率です。明らかに減っています。

「組織として役職を充てられる枠ははめられているから大丈夫だ」と以前、人事担当者から説明を受けたことがありますが、だからと言って受験率が下がっているのを安心して見ていていいのか。

この日は担当部長の説明は、「産休・育休など子育て中なので今は受験は避けたいとの意見がある・・・」
試験が無いときは時期が来ると昇格させられていた時代からするととても優しくなりました。
受けなくなければ受けなくてよいのですから。
確かに団塊の世代が上司に多かった時代は係長になるのも40歳ぐらいだったようには思います。
今では上が少なくなってきているので昇格も早まっていますが、民間であればもっと早く昇格の時期は来ます。

受けない理由は本当にそうなんでしょうか・・・
実際のところはきちんと調査出来ているわけではないことがやり取りの中で分かりました。

憶測で物は言えませんが、共働きが進んで収入は確保できるのか、あるいは昇格することに対しての願望が無いのか、仕事をする上での何か障害となるものがあるのか。

そのあたりを調査しないと組織としてどう対応していかないといけないのか全く判断できません。
如何にモチベーションを維持向上させていくかがその組織の健全性を保つことになり、また良い人材が集まる要因にもなります。
しっかりと調査をして、早期退職と係長昇任試験の課題には取り組まないと、不幸になるのは市民だということを忘れてはなりません。

❷市民協働について
①地域の様々な活動の中核となる町会・自治会の将来をどう見ておられるか
②市として出来る事・やるべき事とは何と考えておられるか

年々町会離れが進んでいます。
簡単に言うと「町会のメリットが分からない」
特に若い世代は町会に頼らなくても生活できる、と考えている方が多いのではないでしょうか。
昔は団体で交渉しないと行政に聞いてもらえなかったり、入らないことで疎外感を感じたり…

現代は個人が主となり、人のことまで気を回すことが面倒だと思う人が増えてきているのはあながち間違っては無いと思います。
しかしながら、ボランティアを熱心にされている方もまだまだ多く見かけられますし、そういった大人の姿を観ている子ども達にも良い遺伝子が宿っているはずです。

災害時や病気で困ったときにはお互いさまの精神で付き合えるご近所付き合いが大切とよく言われます。
分かっていてもそれを煩わしいと思う方もおられる中で、これからの町会・自治会運営で悩まれているのは全国的な問題です。
「市民協働」と言う観点で行政を進めている松原市としては根幹をなす町会組織が弱体化することはとりもなおさず、行政運営に影響を及ぼします。
市長答弁では、「共通の課題認識の下、ハードソフトの両面で支援に努めているが、次代の担い手づくりが重要と捉え、来年迎える市制施行70周年を契機に未来の松原について考え、そして議論していく場を新たに設け、安心安全なまちづくりを推進していく」とのことが述べられました。

確かに同感です。
これから町を担っていく、それは松原市以外かもしれませんが、そういった次代の育成をしなければ将来は多様化が溢れすぎてまとまりのない個人社会に繋がりやしないかと心配します。
人は一人では生きていけないことを本能では分かっていながら、誰かがやってくれると思って任せてしまうことを選択する人が圧倒的ではないでしょうか。

町会も役員さんが高齢化していくことで閉塞感があふれています。
人が循環しないと新しい発想も生まれません。
しかしながら、地域を担うにあたって適当な年代の方は仕事を辞めることが出来ず、ようやく退職しても地域に入ってこられる年代ではありません。

町会のデジタル化を進めることで省力化を図り、情報が出来るだけ早く広く伝わることも今の時代には求められ、それを進めるスキルも必要とされます。
つまりはそれを支える人的、あるいは資金的なサポートがないと町会も前に進めません。

行政も町会の存続には危機意識を持っています。
町会が活性化することで市民協働が維持できるわけです。
地方では地域活性化の為に「地域おこし協力隊」といったその土地に根付いて自分の持つ能力を活かそうと頑張っている若者も増えています。
組織で働くよりも起業して活動するスタイルが今の世代の傾向にあるような気がします。
そういった若者のチカラを存分に活用できる地域にすることで個人と地域のお互いの望むことが実現できる社会になるのではないかと思っています。

本市には、そんな人材を登用して、うまく循環していく社会を目指して、現在下準備に励んでいます。