令和6年1月22日(月)午後9時00分~午前10時30分
於:南国市スポーツセンタータワー見学
南国市 危機管理課 危機管理係課長補佐兼係長 野村学氏
議会事務局議事調査係主幹 三谷容子氏

◆視察目的
南海トラフ地震の発生確率が高まる中で、2011年の東日本大震災の津波災害がもたらした被害はかなり大きく、それを機に南海トラフ地震の津波被害想定が見直され、これまで大丈夫とされていた高台では人命が助からないであろうとされた。そこで市内に被害想定区域内の住民が避難できる津波タワーを短期間で建設し、いつ発生してもおかしくない南海トラフ地震に備えた。2024年元日の能登半島地震で発生した津波災害においては震源地が沖合近くで震源地が浅かったことから到達する時間が数分と短かった。南国市沿岸部に居住する住民の不安が募る中、予め対応できる公助の現状を調査研究することが目的である。

◆所感
高知竜馬空港に降り立って直ぐに南国市スポーツセンタータワーを訪れました。職員の野村さん・三谷さんに出迎えて頂き、説明を順に受けました。東日本大震災の被害状況から被害想定を見直し、内閣府の指針では半径300mに一つ、概ね5分以内に避難できる距離に津波タワーを設置する方針とし、平成24年度と25年度の僅か2か年で14基の津波タワーを建設されました。
国の加速化交付金を活用し、1基あたり約1億8千万円(内用地費約4千万円)かかっているそうです。地域についてはどこも早く建設してほしいとの要望で悠長なことを言っておられず、建設用地については地元で調整を済まされたようで短期間での建設が可能となったと聞きました。

14基には想定エリアに住む7000人の内、4800人が避難できる想定であり、残りは山へ避難します。15基目となる今回視察した津波タワーは近くのスポーツ施設の利用者向けのタワーであり最大想定避難者数は820人。

当初、体育館での避難を想定していたものの津波の水圧に耐えられないとなり、新たに追加で昨年建設されました。

想定水圧よりも3倍耐えられる設計にしているため、コンクリート製の柱はとても頑丈に作られています。一度に大勢が駆け上がれる幅の広い正面階段は約4千万円で強度は建築費用も嵩むことからそれほどではないそうです。もし破壊されたとしても階段は別に設置されているので初期の目的が達成されれば良しとの理由です。

津波の到達時間がとても早い為、来るまでの避難ではなく、高台へ優先して避難しなければならず、165ある自主防災組織は時には自主的に夜間の訓練もされておられるそうです。

また、万が一津波が発生した場合、40時間はタワーに滞在することを想定し、災害備蓄倉庫には毛布と水が今のところ備えられていますが、食料品等は市の持ち出しであることから課題となっています。

今後の建設計画を尋ねますと、土砂災害特別計警戒区域では大雨と地震が重なった場合を想定して2もしくは3基を増設する予定だそうです。

今回の視察を通して、高知県では昔から繰り返し起こった南海トラフ地震の被害から学んだことを基に、住民自らが強く意識して自助共助の訓練をすると共に、行政は奪われる住民の命を最小限に抑える為に、出来る限りの想定外を排除し公助の役割をしっかりと果たすことに尽力されているのだなと感じ取ることが出来ました。

本市でも、比較的安全な地域と思われていますが、想定外のことが頻繁に起きていることから、決して油断してはならないように住民危機管理意識を高めておくことがとても大切であると言うことを改めて学んだ視察でした。