12月8日(火)午前10時

今回の定例会の個人質問は以前から「発達支援」をテーマとして考えていました。

4年前の平成28年第2回定例会でも発達障害の件について質問していました。

増加傾向にあることの認識の確認や市の施策、発達の診断を受けるのにどれくらい待たないといけないか、職員が適切に研修を受けているのかなどについて質問しました。

 

今年の9月議会が始まる前から市内事業所に向け、児童発達支援と放課後等デイサービスについてのアンケートを実施し、市内に児童発達支援センターを必要とするかどうかの調査研究を始めていました。

事業所の療育が果たして子どもの発達に十分対応できるものかどうか・・・

ここについては素人ですので、私には判断つきませんが、

2018年3月26日に読売新聞に掲載された全国に渡って一部の事業所の質の悪さが記事になっていました。

遡ること平成24年(2012年4月)に児童福祉法の改正によって児童デイサービスから分離する形で、未就学児童が1割負担で指導支援を利用できる療育機関として児童発達支援事業所が、また18歳までの就学児童生徒が利用できる施設として放課後等デイサービス事業所が開設されました。

全ての事業所がそうだとは言いませんが、営利を目的とした法人が参入できるようになり、これまでなんの経験も知識もない職員が対応することから虐待や質の低いサービスが横行していることが明らかとなったと記述されています。そういったことから厚労省は専門知識をもつ職員の配置を義務付けるなど運営の条件を厳しくする方針を定めました。

 

そもそも年齢ごとの発達をおさえ、その子どもに合った療育を行うのは簡単ではありません。

かなり多くの子供をみて、発達の勉強をし、経験を積み重ねてこそ出来る本当の療育。

中核施設である児童発達支援センターが近くにあることでスキルの向上が図れ、一般の家庭からの相談事業も受けやすく、市内の保育園等も含めた訪問指導も実施しやすくなります。

悲田院に視察に伺った際に、人数的な制約もあるし距離的な問題もあることから訪問事業が進んでいないことを教えてもらいました。

逆に言えば、松原市民からは遠い存在であることが明白なんですよね。

これらの課題を解決するには市内にセンターを設置し、スキル向上に役立てることが子どもの発達にとっても、親御さんの子育て不安解消にとっても、事業所のスキルアップにとっても有益な事なのです。

 

かつて、昭和53年に松原市は羽曳野市と藤井寺市との圏域で児童発達支援センターを羽曳野の悲田院に共同運営を始めました。その頃は対象児童が少なかったからそれで良かったのでしょう。

社会福祉法人四天王寺悲田院が40年を過ぎてスキルと経験を積んだ施設として、今では急激に増えた児童発達支援事業所の中核施設として活躍して頂いているところですが、昨今の発達障害と検査を受けたあるいは医師の診断が出た子ども達が大幅に増えていることを受けて、枠がいっぱいになり悲田院に通えないという家庭も増えてきています。また、松原市からは遠方であるが故に車が無いと通えない、特性があるために低年齢でバスに乗せるのは心配。あるいは家族から通うことを止められる、仕事を辞められないので連れていけないなどといった理由から断念している家庭も少なくない。しかしながら、市は待機児童は出ていないという。

いったいどこを見ているのか・・・

子どもの成長は早いため、何もしないわけにはいきません。

だから待たないんです。なので待機児童がいないんです。

途中で退園する可能性も低いことから、本意ではなく市外の頼れるセンターや事業所を探すか、市内の事業所に通うこととなります。

サービスの需給バランスはとれているから増やさなくてよい・・・

これが市の考え方ですが、市外の事業所を利用されている方も多い。

定員は掲げていても、見れるかどうかの質はわかっていない。

直接見学には行ったとの説明がありましたが、果たして療育の分かる人間が行ったのかどうか・・・

指導監査は大阪府の仕事であるが、市内の子どもの発達支援の責任者は松原市であるはず。

それぞれの事業所がどんなところであるか、しっかりと認知しておかなくてはなりません。

全ての事業所を悪く言うつもりは全くありません。特色を出された療育をされているところも確かにあります。

しかし、統計的にみるとサービスを受けられているのはほんの1割に過ぎないというデータがあります。それは親が受容していない子ども、受容していても療育サービスを受けていない子ども、最悪なのが変わった子としか受け取られず、誰にも気付かれていない子ども。

こういった子達がサービスを受けることになるとたちまち今の供給量では足りません。

 

また、保育所園や幼稚園では加配を付けた障害児保育や支援員がついた特別支援教育を実施しています。そう言った子たちは何らかの手立てを受けていますが、万が一、親が障害を受け入れられない場合どうするのか。

しかし、何も親に強制的に受容させるのではなく、保育所園や幼稚園で普段の保育教育の中で対応したらいいだけです。

しかし、それにはスキルがいるのでセンターがそばにあれば、親に受容させずとも職員が勉強して対応し、発達を促せばいいだけなのです。

 

近くのようで遠い悲田院。

今回は子どもの発達が気になりながら適切な機関に直ぐに繋げて貰えなかった親御さんの憤りのご意見を演壇で10分かけて全て読み上げました。

どうして繋げてもらえなかったのか・・・?

こちらから求めても適切に相談に応じてもらえず苦しまれました。

本当に分かってもらえず、手を差し伸べて貰えなかったのは辛かったことと思います。

窓口になる職員一人一人が制度の理解をしていないと、せっかく制度があっても何の役にも立ちません。

今ではスマホなどで調べたら直ぐ得られる情報も、松原市ではたどり着きません。

何故なら情報が載っていないから。

それは本当に困っている市民が見えていないからなんだと思います。

そこから改善していかなくてはなりません。

元職員としてここまで書きたくはありませんが、給料以上の仕事をするべきだと心底思います。

 

今回は、親の生の声、事実に基づいた心の叫びを聴いてもらいたく質問に立ち、また、市民の代弁者として責務を果たすことが議員の務めであると再認識しました。

声をなかなか上げづらい方々の小さな声を拾って、一歩ずつ改善していかなくては世の中が良くなりません。

親の会等の方々には原点に立ち返らせて頂いたと思っています。

 

早期発見、早期療育が真の意味でかなう市になれば、自ずと子育て世代は松原市に住まいを築きます。子ども・子育て支援法に基づく「子育て支援拠点事業」は充実しているものの児童福祉法に基づく「発達支援事業」を充実させなければ、子育て世代包括支援センター(ネウボラ)が持つ「妊娠期から子育てまで」の施策が完成したとは言えません。

これからも市民の皆さんの協力を得て、足りていないことを見つけ出し、出来ることから具体的に前に進めていきたいと思います。