睡眠教育に関する視察に行ってきました

本日、午後10時。

「睡眠教育」で成果を上げている「大阪市立三国小学校」を会派で訪問しました。

かねてより、学力向上を子どもの成長並びに松原市の今後の発展の必須課題と位置づけ、取り組んでまいりましたが、基本的にはやはり子供の生活習慣の改善が根底にあるべきものとの信念から、睡眠教育から学力向上に成果を上げている当該小学校に勉強しに行ってきました。

以下、聞き取りの内容と自分なりの考えを述べさせていただきます。

20180207_164440

20180207_16451020180207_164525

 

当該校は、平成21年度2学期からの導入とのことであるが、登校時間ぎりぎりで登校する児童が多かったことから、始めたとのこと。
起床時刻は開始当時午後7時までに起きる児童は48.1%から平成29年度では77%に、就寝時刻は午後10時までに寝る児童が63.4%から83%に改善された。

学期ごとに生活点検習慣を1週間設け、児童の生活状況を調査し、保護者にコメントを記載してもらう取り組みを行っている。
カードの項目の中では起床就寝時刻のほか、朝食の喫食、栄養バランスを赤・青・黄色(過去は食べた内容も書かせていた)の〇付け、テレビやゲームの時間、運動等で体を動かしているか、自己目標の達成状況、自分の感想、保護者の感想を記入させるものとなっている。
松原市内の小学校でも行っているが、集計されたものが示されておらず、当該校は集計結果を各家庭に配布し、保護者が確認出来るようにしている。
また、生活点検週間に入る前には保健だより等で保護者に啓発しており、家庭での意識付けを行っている。
当該週間中は、担当児童が全学年に向けて呼びかけを行っており、児童自ら意識改革を行ってい、頑張り度が勝っているクラスには賞状を渡し、励みにつなげている。
指導が必要な家庭に対しては学期末の懇談で「がんばりカード」に基づいて担任から指導することとしている。
また、生活習慣が思わしくない家庭には担任から直筆の手紙をその家庭に渡し、親に訴え改善を図るなどしている。
ただ、家庭によっては、習い事の影響で就寝時間が遅くなるなどやむを得ない状況から、子育てに熱心な家庭より方針に反発する声も上がっているものの、家庭において出来る範囲での実施協力を呼びかけている。
また一方では、実施の折には生活習慣を見直すきっかけになるので良いとの評価もある。

生活習慣が悪い児童ほど、問題行動を起こす傾向にはあるとの見解もお聴きしました。

参観前に親の参加を呼びかけ、睡眠の講習を実施したものの、PTAの動員のみに終わるような結果から負担も増えることになるので、区全体の講習で睡眠の大切さについての講演を行い、また、おたよりなどで極力対応しているとのこと。

不登校の児童については高学年に上がるほど増える傾向にあるが、保健室登校などで対応している。極端に減っているとは言い切れない。
近隣の小中学校との地域性は似ているものの、取り組みは進んでいる方である。
平成28年度には理化学研究所の水野敬氏との共同調査において、区全体と本校との比較分析を行って報告書をまとめている。
傾向とすれば、学年が上がるにつれて睡眠時間は減少しているが、区と比較すると睡眠時間は長い。児童の疲労度合いを比較すると、区とさほど差異は見られないが学年が上がるごとに疲労度は増している傾向にある。

また、学習意欲については、高学年に上がるほど低下傾向にあるものの、区全体と比較すると割合は高い。
調査の結果から、疲れているほど学習意欲が低く、疲労、学習意欲が低くなるほど注意制御力は低い傾向にある。
そして、注意制御力が低いほど、授業の理解度も悪くなる結果が出ている。
調査の結果から、当然の現象として疲労がたまれば、学習意欲が低くなり、そして注意力が低くなる。すなわち、脳の力の低下を招き、授業がよくわからないという負の連鎖となる。

睡眠時間と朝食の関係からみると、睡眠をよくとっている方が食欲も増しており、食欲は学習意欲にも反映している。
また、睡眠時間と夜間のコンビニ利用の関係では、コンビニを良く利用する児童は全く利用しない児童との比較において2時間余りの違いが見られる。
テレビ視聴との関係においては、当然の結果テレビ視聴の時間が長いと睡眠時間は少ない傾向にあるが、視聴時間に比例して睡眠時間が正確に反比例しているわけではない。パソコン使用についても同じことが言える。
SNSとの関係も同傾向にあるが、小学生時分の使用頻度からすると極端に睡眠時間に差が出た結果と言い切れない。
また、親から褒められることによって、睡眠時間は多くとっている傾向であり、親からの働きかけも大事な要素となっているようだ。
学習意欲についても然りと言える結果となっている。
調査結果から最終的に言えることとして、
疲労が蓄積すると学習意欲の低下を招き、注意制御力、脳機能の低下につながり、授業の理解度が低下する。
従って、疲れのたまりを防ぐことが根本的な解消法となり、そのためには十分かつ良質な睡眠が必要ということが結論付けられる。
そのためには、夜遅く出歩くなどの生活態度を改め、テレビ、ゲーム、スマホなどの使用時間を決め、家庭での団らん・コミュニケーションを深めるとともに、親が褒めて育てる意識の醸成が、子どもの健全な成長につながると言える。
こういった取り組みの継続が功を奏していると考えている。
朝食の欠食率はもともと低いが、大阪市では1.4%程度なところ、平成29年度調査では1学期で0.9%、2学期で0.5%と低い状態。朝食を食べる習慣が身についている児童が殆どである。松原市はまだまだ遅れていることがうかがい知れる。

給食の残菜率は極めて少ないとのことであるが、ポイントは集会等で児童が呼びかけを行ったり、食に関する栄養教諭の指導、児童との会食などが考えられる。また、子どもが食育の観点からクイズを出すなど食に関して興味を引く取り組みを行っている。
⇒本市では、民生児童委員や福祉委員、高齢者など地域の人たちとの会食が効果的ではないかと考える。

また、過去は朝食のバランスが偏っていたが、家庭の協力も得られ、平成27年度で77.4%がバランスの良い食事が取れているというがんばりカードの調査結果が出ている。現在でも6割近い児童がバランスの良い朝食をとっている。

全国学力学習状況調査では、算数に関して、習熟度別学習に注力してきた結果もあり、全国平均を上回る結果につながっている。 国語についてはさほど変化はない。
学力向上については、眠育だけではなく、体力面・運動面の強化、習熟度学習の総合的な取り組みの成果が表れていると分析している。

★淀川区の取り組み
“淀ねる”

小学校1、2年生 ⇒ 午後9時までに就寝
3、4年生 ⇒ 午後9時半までに就寝
5、6年生 ⇒ 午後10時までに就寝
●本市の課題と今後の展望
似た取り組みを行っているが、現在、三国小学校の取り組みの初期段階に留まっている。
今後、学校での取り組みを継続強化することが必要であると再認識する共に、家庭の理解・協力が更に必要である。
そのためには、徹底した個別家庭指導が不可欠であると共に、エビデンス(調査分析から得られる結果)に基づいた事をしっかりと家庭にフィードバックし、改善の効果を実感してもらえる努力が欠かせない。
まずは、モデル校を指定し、インターナショナルセーフスクールの取り組みの一環として市内公立小学校並びに中学校へと広めていくことが急務と考える。